みなさま、荒らしコメが怖いので記事にしなかった光市の事件について書いてみたいと思います。(随時追記、改訂中)光市母子殺害の弁護団、橋下弁護士を提訴 懲戒呼びかけで業務妨害
9月3日13時15分配信 産経新聞
大阪弁護士会の橋下徹弁護士がテレビ番組で、山口県光市の母子殺害事件の被告弁護団に対する懲戒処分を求めるよう視聴者に呼びかける発言をしたことで、業務を妨害されたとして、弁護団のメンバーで広島弁護士会の足立修一、今枝仁両弁護士らが3日、橋下弁護士を相手取り、1人当たり約100万円の損害賠償を求める訴えを広島地裁に起こした。安易な懲戒請求は違法行為であり、損害賠償のリスクがあるということを説明しないで呼びかけた上、橋下弁護士自身は懲戒請求していなかったというこの問題ですが、乗せられて請求してしまった人には提訴しないそうです。
橋下弁護士に提訴した今枝弁護士本人のコメントが
超初級革命講座(下から上へお読みください)
にありましたので一部転載です。(管理人さんがご本人と確認済)○○ : 今枝仁 : 07/09/04 22:49
ここでの議論はかなり有意義と思いますので投稿します。
昨日橋下弁護士に訴訟を提起した原告の今枝です。
光市弁護団は、全員が死刑廃止論者ではありません。私は元検察官ですし、現行法を前提に弁護活動をなすのが正当と思ってます。
弁護団の中には死刑廃止論者が何人かいるようですが、そのような議論は弁護団の活動の中でなされていません。
もちろん、弁護活動に死刑廃止運動のために事件を利用しようという意図もありません。誰が言い始めたのか、そういうレッテルを世間が鵜呑みにしただけです。
弁護団は(というより他の人の思いは分からないので少なくとも私は)、今までなされた事実認定に疑問を持ち、真相をより解明し適正な量刑を果たされるために弁護活動をしています。
現在の被告人の発言は、弁護人が指示したり教唆したものではありません。被告人は旧1・2審では、訴訟記録の差し入れもしてもらっていなかったので、記憶喚起も曖昧であり、検察官の主張に違和感を唱えても弁護人に「下手に争って死刑のリスクを高めるより、反省の情を示し無期懲役を確実にする方が得策」と示唆を受けたと述べます。
最高裁段階で証拠の差し入れを受け、記憶が整理され、今の主張に至っています。
また、家裁での調査記録に「戸別訪問は孤独感が背景」「予想外に部屋に入れられ不安が増大した」「被害者に実母を投影している」「退行した精神状態で進展している」「死者が生き返るとの原始的恐怖心に突き動かされている」「発達程度は4、5歳レベル」などと書かれています。
いずれも今までの認定と矛盾し、今の主張と整合しています。また家裁記録には「劇画化して認識することで自己防御する」とあります。
そうすると「ドラえもんが」や「魔界天性」等も、そういう被告人の性癖が路程されただけとも言えます。
さらに1審の被告人質問では殺意を否認する供述をし、強姦の計画性は刑事や検事に押しつけられた、と否認しています。現在の供述の片鱗は、すでに随所に現れていたと言えます。
なお被告人質問は1審で2回、2審で4回ほど行われていますが、犯行態様について聞かれたのはわずか20~30分間、全体の10分の1以下の時間に過ぎません。
現在は、被害者の遺体の法医学鑑定も大きな争点です。弥生さんについて「両手で体重をかけて締めた」とされていますが、片手のみの跡が残っており、舌骨骨折もないから疑問を提起しています。
夕夏ちゃんについて「頭上から後頭部を下に叩きつけた」とされていますが、頭蓋骨骨折も脳内出血も無いことから疑問を提起しています。
被告人は「弥生さんは片手で押さえた」「夕夏ちゃんを叩きつけたというのはない」と述べており、現供述の方が客観証拠と整合します。
これらについては、すでに5月に陳述し、マスコミにも配布した「更新意見書」に書かれています。ですから守秘義務違反も生じないし、これらの内容がきちんと報道されていない実態に疑問を感じます。
橋下弁護士も、大阪の集会でこれを読んで以降は、「弁護団の主張自体はもう批判しない。1・2審であれば自分も同じ主張をしたかもしれない」としています。
さらに被告人が「午後からタンクトップのラフな格好で出廷した」と避難されていますが、その実態は、昼休みに護送車に乗った際、他の被告人の汚物が服に付き、着替えが無かったためです。
弁護団は即日マスコミに説明しましたが、まったく報道されていません。
また本村さんを睨んだとされましたが、被告人は斜視で(家裁記録にも「斜視であり、脳器質の異常が疑われる」とあります)、目が視線とは別の方を向いています。
つまり実際に目があったときには、どこかほかのところを見ているかのように見えるのです。そのことも記者会見で説明しています。
そういう状況ですから、マスコミ報道だけを鵜呑みにして評価するのはちょっと待っていただきたいと思います。
徐々にですが、弁護団の説明が伝わっていきつつあります。
「説明義務違反が懲戒理由」という橋本弁護士の主張には賛同できませんが、もっと積極的に説明を尽くすべきという指摘には被告人の利益のために考えていくべきことと認識しています。
裁判員制度を迎えるいま、刑事裁判の本質が正しく国民に理解されなければなりません。中でも刑事弁護人の役割は、なかなか理解されにくいものがあります。
刑事弁護人は、たとえ全世界が被告人に唾棄しても、被告人を擁護し、被告人が述べるところに従って(議論はするとしても最終的には従い)弁護すべき立場にあります。
だからといっても、裁判所が受け入れる余地もない荒唐無稽な主張をしても被告人のために意味はありません。
光市事件では、被告人の成熟度、強姦の計画性、殺意の有無・程度・殺害態様などを証拠に基づき争っており、報道課程で荒唐無稽で中身の無いもののようにされているにすぎません。
視聴者が飛びつきやすいセンセーショナルな枝葉を拡大され表面に膜を張られ、根幹が見えなくされています。
裁判所は鑑定書や証人を採用し、検察官も法医学者の証人尋問を申請しました。
このように、弁護人の主張はスルーされるわけでもなく、法廷では事実が証拠に基づき主張が激突しているのです。
その本質を理解された上で、感情でなく論理的に批判を受けるのであれば、私たちも反省をしなければならないかもしれません。テレビでは報道されない事実がかなりあるようです。このような状況で「事実」が置き去りにされたまま、「無期」か「死刑」かだけに注目していて良いのでしょうか。※今枝仁弁護士のコメントのまとめはこちらをお読みください。
弁護士のため息
光市母子殺害事件の弁護団の一人、橋下弁護士を提訴した原告の一人、今枝仁弁護士の話(総まとめ)
江川紹子さんの意見「刑事弁護を考える 光市母子殺害事件をめぐって」
※議論全体を読みたい方はこちらで下から上へお読みください。
超初級革命講座
※今枝弁護士がサイトを開設されました。「更新意見書」など読むことができます。
弁護士・未熟な人間・今枝仁・・・光市事件と刑事弁護
はじめに
まずは感謝の気持ちを
マスコミ(一部)の行動について
マスコミの誤報について 1
検察官は、僕をなめないでいただきたい!
声明 刑事弁護人よ、立ち上がれ
福富正大さんの記事から
福富正大さんの記事から 続
私が記者会見で泣いた訳
※おすすめ記事 (必読)
情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)
光事件Q&A~弁護団への疑問に答える~光事件弁護団
たかじんのそこまで言って委員会|大会議室
弁護士さんであるすちゅわーですさんの投稿が勉強になります。
橋下弁護士が光市母子殺害事件弁護士から提訴
Because It's There コメント欄もぜひぜひお読みください。
光市母子殺害事件弁護団が、タレントの橋下弁護士を提訴へ~テレビ番組での“懲戒請求呼び掛け”発言で
※裁判を傍聴したジャーナリストの方のブログです。
綿井健陽のチクチクPRESS:
「死刑反対の弁護団」VS「死刑を求める被害者遺族」?
【広島から その1】
【広島から その2】
「死体は語る」
【また広島から その1】
【また広島から その2】
【また広島にて その1】
【また広島にて その2】
【また広島にて その3】
※以上のブログの綿井健陽氏が撮影された弁護団の記者会見の動画です
YouTube -
2007年6月28日【光市母子殺害】弁護団記者会見(1/2)
今枝弁護士も発言しています
2007年6月28日【光市母子殺害】弁護団記者会見(2/2)
※安田弁護士の主張です。
YouTube -
【安田好弘】#0 【光市母子殺害事件】公判欠席理由
【安田好弘】#1 【光市母子殺害事件】法医鑑定書
【安田好弘】#2 【光市母子殺害事件】検察のあおり
【安田好弘】#3 死刑を煽る検察とその周辺
【安田好弘】#4 【光市母子殺害事件】メディアの害悪
私が重大犯罪の被告を弁護しなければならない理由
ゲスト:安田好弘氏(弁護士)
光市最高裁判決と弁護人バッシング報道 安田好弘
そもそも、弁護士にはどんな役割があるのでしょうか。
県弁護士会:弁護人の立場、役割は?--曽我・副会長に聞く /鳥取
8月27日13時1分配信 毎日新聞
◇裁判員制度導入、09年までに予定
県弁護士会(西村正男会長)は先月25日、「弁護活動への違法・不当な手段による圧力などに対する会長声明」を発表。
光市母子殺害事件を巡って、日本弁護士連合会などに脅迫文や銃弾が送られた事件に対し、弁護活動への不当な圧力を非難した。
しかし、一般市民には「弁護士は、なぜ『悪いことをした人』をかばうのか」との声もある。
裁判員制度の導入が09年までに予定され、国民の司法参加が進められる中、刑事裁判での弁護人の立場、役割は何なのか。県弁護士会副会長の曽我紀厚弁護士(鳥取ひまわり法律事務所)に聞いた。【田辺佑介】
――弁護人はなぜ被告人の味方をするのか
裁判では、強大な権限を持つ検察と、逮捕されて身柄を拘束された被告人は、対等な対立する当事者として扱われる。
弁護人はその実質的な不平等を埋め、被告人の利益を守る。弁護人の役割は、万に一つでも冤罪(えんざい)があったらそれを救い、多くの人と違う立場の人を守ること。
戦前、戦中は過酷な取調べにより自白が強要され、多くの冤罪が生まれた。今の日本の刑事裁判には、その反省がある。
――検察、弁護人、裁判官の役割とは
みんなが「正義の味方」と思われているかもしれないが、犯罪の立証は検察の役割で、弁護人の役割は被告人を守ること。裁判官は、何が証拠としてふさわしいか、法で定められた犯罪に当てはまるか、有罪ならどれくらいの刑が適当か、などを判断する。
「正義」と「悪」の対立ではなく、各々の役割を果たすことで「正義」が実現できる。
――光市の事件についてどう考えるか
高裁に差し戻されてから、被告人が「ドラえもんを信じていた」「被害者に甘えたかった」などと言い始めたような報道だが、取調べの段階で供述があったとも聞く。
裁判では基本的には必要な証拠しか出さないから、検察はその部分に触れなかった可能性がある。弁護側は1、2審で犯行を認めて死刑回避に成功したが、最高裁が審理を差し戻した以上、同じ方針では死刑の見通しが強い。
そこで今の弁護人は被告人の生の声を主張する方針をとった。被害者の心痛を考えると弁護人はひどいように見えるが、被告人の主張、立場を主張しているという意味では、職責を果たしているとの評価もできる。
――被告人の話が信用できなくても弁護するのか
国選弁護人は、裁判所が解任を命じない限り辞任できないし、弁護人がいないと裁判もできない。
国選にしろ私選にしろ、弁護人である以上、被告人の主張内容や道徳的にいいか悪いかにかかわらず、被告人の言っていることを法的に整理して伝えることが職責。ただし、被害者を傷つけない配慮は必要だ。
――なぜ弁護人の仕事が理解されにくいのか
一般に、逮捕されたのは「悪い人」という認識があり、弁護人はその味方をして被害者をないがしろにするように見えるのだろう。
だが、刑事裁判では有罪判決が確定するまでは犯罪者ではないし、そもそも「悪い人」を決める場ではない。
刑事裁判の当事者は検察と被告人で、検察との関係では、被告人は弱者で弁護人はその味方。
最も気の毒な立場にある被害者が、蚊帳の外にいることによる行き違いの気持ちは理解できる。そこで、被害者の裁判への参加が議論されている。裁判内容への批判について、議論は活発であるべきだが、暴力や嫌がらせによる圧力は絶対に認められない。
橋下弁護士のように「弁護士」としてメディアに出る以上、2年後に迫る裁判員制度のこともありますし、司法についての正しい知識を啓蒙するのも役割であると思うのですが、実際にしたことは弁護団叩きを煽ったことでした。これでいいのでしょうか。(→弁護士さんのご意見)
刑事法とは。刑罰とは。弁護とは。を、良く知らないのであろう人たちによる、殺せ殺せの大合唱には、集団ヒステリーのような怖さを感じます。そもそも、この事件はまだ事実を明らかにしている途中なのに。。
それどころか、流布されている検察側の主張である「両手で殺した」「赤ちゃんを床に叩き付けた」などは、死体にそのような跡はなく、事実とは違うことがわかって来ています。にもかかわらず、多くの人がテレビが煽る憎悪のまま、憤っているというのはどういうことでしょう。
そして、とても気になる事は「この事件についてはよく知らないけれど」と前置きした上で、すぐに、弁護団は死刑廃止運動のためにしている。判決は死刑であるべき。と書く人が多いことです。なぜ、「良く知らない」のに断言できるのか。
冷静なはずのあの灰色のベンチのKENさんですらメルマガで、
○私も一般の方と同様の知識しかありませんが
○裁判開始当初からころころ意見を変え
○明らかな判決の遅延、原告側の混乱を狙っている
○死刑反対のプロパガンダの為に被告及び事件を利用
○青年も最大限に弁護士軍団を利用
ほかにも、
○脅迫自作自演説
○弁護士団体は異常なまでにヒステリック
とまで書いています。
「一般の方と同様の知識しかない」と言いながら、「明らか」と言い切ってしまったり、断定口調なのが残念です。
リンクしたブログ等をお読みになった方ならわかると思いますが、一審・二審の時と、現在の差し戻し審の弁護団は違い、今の弁護団は「事実で争う」という方針なので、弁護方針が変わるのは当然です。
また、弁護団が今裁判で死刑廃止をアピールしたことはなく、むしろBecause It's Thereの春霞さんがおっしゃるように、
【光市事件に関しては、第1審、第2審で無期懲役とされ、それに対して被害者の遺族である本村洋氏が強く死刑を求め続け、検察官が上告した結果、原判決が破棄されたのです。
この経過からすると、検察官や本村氏が「死刑拡大運動」のためこの事件を利用したのであって、弁護団がこの事件を「死刑廃止運動」のために利用したといわれる筋合いではないのです。】
の通りだと思います。そもそも前例・判例から無期が妥当な事件で死刑廃止をアピールする機会もないはずですし(→弁護士さんの解説)、死刑回避のために怠惰な弁護業務をしていたのは、旧1.2審の弁護団です。
それに弁護士であれば、廃止論者であれ存置論者であれ、弁護する以上死刑を回避するのは当然ですから。
安田弁護士が死刑廃止論者というだけでレッテルを貼るのは安易すぎます。そのような人ならば、以前にこのブログでもご紹介した被害者遺族である原田正治さんが信頼を寄せることもないでしょう。
碁法の谷の庵にてさんには、安田弁護士の刑事弁護は愚直なまでに事実・証拠に拘(こだわ)り、サリン事件の遺族の一部や検察実務にも支持者がいたそうですが、あまりの作業の多さに他の弁護士は音を上げると聞いています。
という記述もありました。
「弁護士団体は異常なまでにヒステリック」についても、むしろヒステリックなのは第三者でありながら、メディアで流されている内容だけを鵜呑みにして大バッシングしている場外の人たちです。
少し調べればわかることばかりなのに、このような状況で裁判員制度が導入されて、一般市民が冷静に判断などできるのかとても不安になります。
弁護団は、検察の提示した検案書等から矛盾を洗い出し、証拠を元に弁護しているにすぎません。奇妙に思える「弁護人の主張」も、被告の主張を代弁しているにすぎません。それに、最終的にその主張を正当と認めるかの判断は裁判官がするのです。
なのに、批判は弁護士にばかり集まり、被告の調書を握りつぶしたり、片手を両手と言ったり、事実とは違うことをねつ造して主張した検察は批判されません。また、法廷テクニックを使うのは弁護士だけでなく、検察も同じです。
弁護団を批判している人たちは、一体どんな弁護士なら良いのでしょう。検察と一緒になって被告がより凶悪との印象をつけるような弁護士でしょうか。弁護士の役割である「被告の利益を守る」ということを放棄した弁護士でしょうか。それこそ懲戒される事由になってしまいます。(→弁護士さんの解説)
しかし、批判している人が、弁護される側になった場合国民感情に添った弁護をしてもらうことはできるようです。(→国民感情に反する弁護活動をするなというのであれば)
基本的に第三者は公正に裁判が行われることを是とし、決して、検察寄りの私刑(リンチ)を推奨してはならないと思います。
また、9.11の時のように、「憎しみ」は民衆を瞬時に思考停止させるのに有効なのだと実感します。このようなことで、国に利用されるようなことがないと良いのだけれど。。と思ったりもしています。
ちなみに私は、事実を元に裁判が公正に行われ、公正な判決が出ることを願っており、この事件の判決と死刑制度の是非論は別との考えですのでよろしくお願いします。
追記。橋下弁護士が自身のブログで(リンクはしません)、訴訟に勝つため、今度は裁判所に提出する「皆様の声」を送るようお願いしていますが、弁護士さんのブログla_causette: 橋下弁護士の説明を2点ほど補充してみるによりますと、懲戒請求と同様に説明不足があるようです。ご注意ください。
追記。月刊現代2006年7月号に、安田好弘vs.中嶋博行 被害者の正義と犯罪者の権利 山口・光市母子殺人事件を巡って という記事がありましたので、一部抜粋。
安田 弁護士
「『僕自身は「人権派弁護士」であってはならないと思っていますし、「人権派弁護士」と称される人達と 一緒にしてもらいたくないという自意識があります。
僕が弁護士になった当時は、たしかに「人権派弁護士」と呼ばれる人たちは存在していました。非常に優秀でスマート。 人権に関して先進的な理論を展開し、判例をリードしていくというイメージがありました。
僕は、たまたまそういうグループに入らなかったし、入る機会もなかった。 なぜかと言えば、僕はスマートではなかったですから(笑)。 僕は彼らが取り扱わなかった山谷に入っていった。
そこでは日雇い労働者が暴動を起こし、力ずくで警察と渡り合っていたんですね。
私にとって、彼ら「人権派弁護士」は違法か合法かを分水嶺にして「いい人権」と「悪い人権」があると考える人たちのように見えました。
ところが55年体制の崩壊と共に総崩れしていった。 たとえば、彼らはある時期から、それまで扱ってきた精神病などの問題を扱わなくなっていったんです。
要するに、切り捨てていった。 そういう場面を見てきましたから、僕は"人権派"と呼ばれる彼らにダブルスタンダードを感じるようになった 。いまでは"人権派"というだけで、社会的には一種の蔑称として扱われるようになりましたよね」
安田弁護士はいわゆる「人権派弁護士」ではないようです。
追記。元検弁護士のつぶやき 今枝仁弁護士のコメントの転載(追加あり)
に、今枝仁弁護士についての記載がありましたので転載します。
No.5 今枝弁護士の弁護人 さんのコメント
2007年09月10日 08:20 | CID 77518
今枝弁護士と同じ広島の弁護士です。
今枝弁護士は、広島弁護士会の刑事弁護のエースであり、普通の弁護士がいやがって受けないような殺人事件、強姦事件、強制わいせつ事件の受任もしています。
本当は、つらい仕事だから、できることならやりたくないのは今枝弁護士も同じだと思います。
使命感と、そういう被告人の弁護を誰もやらない結果被告人の権利が奪われることを危惧されてのことでしょう。
その過程で、強姦・わいせつの被害者や、ご遺族に、罵倒され唾棄されたことも多数おありでしょう。
今枝弁護士ほど被害者・ご遺族のお気持ちを理解しようとし、職務にあたっている弁護士をほかに知りません。
広島県警が、犯罪被害者支援センターを設立するときに、ふだんは対立している今枝弁護士に、役員就任を要請したのは有名な話です。
警察からそれほど信頼される弁護士がどれほどいるでしょうか。
今枝弁護士自身述べられていますが、2人の娘さんがおられます。
下の娘さんは、夕夏さんが亡くなられたときと同じ、生後10ヶ月くらいだそうです。
おそらく、最近は、そのお子さんを抱き上げるたびごとに、夕夏さんのことを考えておられるのではないかと思います。
さらに、上のお子さんは、広島女児殺害事件の被害者である木下あいりちゃんとまったく同じ誕生日だそうです。
法廷で、あいりちゃんのお母さんが、「あいりがいない誕生日を迎えるたびに、私たち夫婦は、あいりが生きていたら今何歳かと、悲嘆に暮れるでしょう。」と証言したとき、今枝弁護士はそれまで張り詰めていた気持ちがはち切れたのか、法廷で鳴き始め、お母さんの証言が終わるまでずっと泣き続けていたと、新聞記者から聞きました。
このような一面も知りつつ、今枝弁護士の姿勢を評価してあげていただきたいと思い、筆を執りました。
追記。来栖宥子★午後のアダージオさん
光市母子殺害事件 コメント「われわれマスコミは今そのことを報道するのが怖くてできません」
に、司法記者さんのコメントがありましたので転載します。
Unknown (司法記者) 2007-07-10 20:32:43
被告は、1審の被告質問で、
「作業服を着て水道屋さんになった気分で気取って戸別訪問しました。人と話したかったのです。」「弥生さんが部屋に入れてくれて予想外のことにびっくりしました。」
「パニックになって、なんとか黙らせようとしているうちに、首を絞める羽目になったのです。」
「そのころはゾンビとかホラーを信じていて、死んだ人間が生き返ると本気で信じていたので生き返って暴れないようガムテープでしばりました。」等言っています。
つまり当時から本当は否認事件であり、今現在の言い分とそう変わらなかったのです。調書にも「ドラえもん」が出ているそうです。
1審の弁護人が「争わない。」と述べ、調書を被告に差し入れもせず見せもせず「証拠採用に同意。」してしまったから、こういう間違いになってしまったというのが真相です。
おそらくずっと傍聴している本村さんは気付いています。だからこそ焦って世論を味方にして潰そうとしているのでしょう。
しかもわれわれマスコミは今そのことを報道するのが怖くてできません。
追記。異端の肖像2006「怒り」なき時代に 弁護士安田好弘(58)より
報酬に乏しい公安事件、重大な刑事事件を背負ってきた。死刑の求刑、あるいは下級審で死刑判決が出た後に、彼が請け負った事件は十七に上る。大半が依頼だった。ある法曹関係者は「こうした事件を受ける弁護士が少なくなり、彼に集中している」と漏らす。
「自分も(こうした事件から)できれば逃げたいと思う」と安田は話す。
「死刑が絡む事件は不安だ。何もできないだろうと落ち込む。裁判で負けても終わらない。被告が処刑される日まで守らねばならない。毎日、冷や冷やして自分も生きていかねばならない。だから、だれもやりたがらない。でも、被告から依頼の手紙が舞い込む。接見で顔を見てしまう。そうすると断れなくなる」
非難の主流は「遺族感情に配慮しろ」だった。今回の事件では、被告が一審判決後に獄中から友人に宛(あ)てた「終始笑うは悪なのが、今の世だ」という手紙の一節が非難に油を注いだ。
「復讐(ふくしゅう)したいという遺族の気持ちは分かる。だが、復讐が社会の安全を維持しないという視点から近代刑事裁判は出発した。もし、復讐という考えを認めれば殺し合いしか残らない」
裁判を死刑廃止運動に利用しているという批判もあった。「死刑廃止を法廷で考えているとしたら弁護士失格だ。法廷は事実を争う場であって、政策や思想の場ではない。だいたい判決は死刑だろう、と考えて弁護なんてできやしない」
安田の弁護は徹底して事実にこだわる。愚直なまでに現場に行き、再現を繰り返す。「よく被告のうそをうのみにして、とか言われるが、うそで起訴事実が覆せるほど、法廷は甘くない。肝心なのは遺体や現場の状況という客観的な証拠だ。被告がどう言ってるかは参考情報にすぎない」
追記。2006年爆弾誌8月号に安田好弘弁護士のインタビューがありましたので転載します。
「オウム事件をきっかけにして、司法が何をやっているか、どうしようとしているかなどが、報道され、批判されるようになってきた、しかし司法は批判に慣れていない。
だから結局、彼らは報道、あるいはマスメディアに迎合していく。ポピュリズムが司法に及ぶのは、こういことだと思うんです」
---ということは、裁判官が裁判官たりえないということですか。
「そうですね。もともと『たり得なかった人たち』だったんです。ひとかどの精神、ひとかどの哲学をもたない人たちが、サラリーマン的に司法に入り込んでいって、裁判官の服を着た。
司法権の独立の名の下に、治外法権にいると思っていた。ところが批判にさらされることになり、大衆迎合、ポピュリズムに陥っていくというのが現在だと思いますね」
「オウム事件というのは異端、ケガレの排除だったと思うんです。そこに危機意識が加わって、危惧感からする、異端者に対する事前の防御の要請が生まれた。
それが、いま世の中に蔓延しているポピュリズムだと思うんですよ。それに裁判所は簡単に乗っかっていると思うんですね」
---そんな現状において、安田先生はご自身の存在意義を自覚されて るんでしょうか。
「自覚というか、気がついたら吹き溜まりに吹き寄せられているという感じはしますね」
「じゃあその吹きだまりというのは何なのか。吹き寄せられている僕らではなくて、吹き寄せている風が何なのか、僕らは考える必要があると思うんですね。
それは『八割の風』と呼べると思います。八割というのは全体主義にとっては必要な数字で、独裁主義であろうと全体主義であろうと、八割の人間はのうのうと暮らしている。
戦時中の治安維持法の時代でも、言論がなくなって不自由を感じていた人はわずか二割にすぎない。そして、そういう社会がすでに今日において形成されているということです。
それが風なんだろうと思うんですね」だから安田が悪いと言えば、八割は悪いと言う。
---「きっと悪いんじゃないの」という言い方ですね。
--そういう風潮に対して闘う方法はあるんでしょうか。
「やはり、皆が集まって新しい言論を起こすということですね」
---正攻法ですね。
「正面から議論していくしかないのではと思います」
「権力側からすると、単なるゲリラ、線香花火にすぎないんでしょうが、そういうことをやり続ける必要があるんじゃないでしょうか。そうすれば『二割の風』というのも起こってくるんでしょうね。
---先生が重大犯罪人の弁護をするというのは、自然に集まってくるということですか。
「正確に言えば、やらざるをえなくなってくる、ということですね。私はもちろん、自分からは手を上げませんし、逃げ回っているなかの一人なんですよ。
しかし逃げ方が下手だから逃げ切れない。これは事実です。しかし、引き受けるのが当たり前だと思っています。でも一方ではやはり辛いという、葛藤の中にいるんですよ(笑)」
---何度も話されていることだと思うんですが、あらためて光市母子殺害事件についてご説明いただけないでしょうか。
「去年の十二月、裁判所が三月十四日というのを一方的に指定してきた時点で、もちろん事件については、社会的事実として知っていたんですけれども、二月二七日に会わざるを得なくなって、本人と面会しました。
すると本人から「開口一番、『裁判の内容は事実と違う』という話が出てきたもので、これはやらざるをえない。覚悟を決めました。
三月十四日に口頭弁論が開かれるということだったので、準備できるはずはありませんから、延期申請を出しました。
それまでの弁護は、(検察の言うとおりに)本人がやったという前提での弁論ですから、事実と異なるというのであれば、ゼロからスタートしなければならない。
一万ページを越える記録を一つ一つ読み直して検証、実験し、専門家に聞かなければならないし、何より本人に、どこか違うのか、しっかりと聞かなければならない。
それは二週間でできることではありません。だから弁論は延期されて当然だと思っていました」
「ところが裁判所は延期しないという。これは異常なことですよ。最高裁の弁論は一回だけなんです。よほどの例外がない限り、続行はありえません。
もし弁論に参加すれば、それで終了する。もしあの場に出席していたら、僕たちにはしゃべる言葉はなかったでしょう。職責の放棄になります」
---それについてのマスコミのバッシングは予想していましたか。
「予想はしていませんでしたが、ありうることだとは思います。確かに事務所にいやがらせ電話は多数ありましたし、短絡的に反応している人が多いなとは思いました。
ただ、弁護士というのは、そもそも社会から非難される人を弁護するものですから、とりたててどういうことはないですね」
追記。「被害者の権利を尊重するべき」との考え方を持つ方は多いと思いますが、それがイコール「死刑推進」で果たされるのかは、慎重な判断が必要だと思います。中には、死刑を望まない遺族の方もいらっしゃるし、補償やケアを求める遺族もいらっしゃるからです。
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安田弁護士事件
きまぐれな日々
言論が一方向に振れる時 ~ 山口県光市母子殺人事件をめぐって
S氏の時事問題
橋下弁護士、光事件の弁護団から提訴される
“正義”の暴走 ストップブログ(仮)
本当にあった懲戒請求扇動番組に仰天 BPOは検証を
碁法の谷の庵にて
橋下徹氏の弁護団説明責任論に異議あり
カナダde日本語:
山口県・光市母子殺人事件: 世論が変わるとき
ミクロネシアの小さな島・ヤップより :
光市母子殺害事件(追記あり)
情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)
橋下弁護士の口車に乗って光市事件弁護団の懲戒請求をしたあなた、取り下げるべきだとアドバイスします!
橋下弁護士の口車に乗って光市事件弁護団の懲戒請求をしたあなたへ取り下げるべきだとアドバイス~その2
橋下弁護士の口車に乗って光市事件弁護団の懲戒請求をしたあなたへ取り下げるべきだとアドバイス~その3
橋下弁護士の口車に乗って光市事件弁護団の懲戒請求をしたあなたへ取り下げるべきだとアドバイス~その4
橋下弁護士の口車に乗って光市事件弁護団の懲戒請求をしたあなたへ取り下げるべきだとアドバイス~その5
橋下弁護士の口車に乗って光市事件弁護団の懲戒請求をしたあなたへ取り下げるべきだとアドバイス~その6
Sezam indyjski すごいリンク集があります。
やはりグダグダだった橋下弁護士
犯罪被害者の会幹事を辞任しました。
“『被害者や遺族は正義である』という情念のなかでは消耗が大きく、かかわりたくないという思いが強くなりました。”という言葉が印象的です。
Tomorrow is Another Happy
死刑関係資料まとめ
YouTube - 死刑論08/04/24追記。夏への扉 The Door into Summer
また間違った報道だ 死刑廃止国と日本の違い どうして子供を責めて親を責めないのか綿井健陽のチクチクPRESS
【本文さしかえ】20日(日)放送番組と掲載誌のお知らせ 「殺せ、殺せ」の大合唱の4/22以降のコメント欄
ネット上で記者会見「光市事件」報道を検証する会弁護士のため息
光市母子殺害事件差戻審判決の日碁法の谷の庵にて
特集~山口県光市母子殺人事件捨身成仁日記
あえて言おう、加害者を救済することもまた社会の利益であると 高裁判決が下った 法華狼の日記
本村洋氏の記者会見は深いと思わなかったよ(元)登校拒否系
本村洋さんにその質問をしないで、いったい何を聞くの?来栖宥子★午後のアダージォ
光市母子殺害事件 元検弁護士のつぶやき
光市母子殺害事件差戻審判決